双極性障害は、以前は躁うつ病と言われていた疾患です。
うつ状態だけが起こる病気を「うつ病」といいますが、このうつ病とほとんど同じうつ状態に加え、うつ状態とは対極の躁(そう)状態も現れます。
この2つの対極の状態(双極)をくりかえす、慢性の病気が双極性障害です。
双極性障害の症状
躁状態とは気分の高揚が持続し、よく喋ったり活動性が高ぶったりする状態です。この躁状態の程度で双極性障害は2つに分類されます。
躁状態
気分の高揚、睡眠欲求の減少、多弁、観念奔逸などの症状が1週間以上続き、社会活動や人間関係に著しい障害を生じる状態。
軽躁状態
躁状態と類似しているが、入院するほど重篤ではなく、幻覚妄想状態を伴わず、社会生活に大きな支障を来さない程度の状態。
期間の面でも、躁状態は7日以上とされているのに対し、軽躁状態は4日間以上。
うつ状態と躁状態がある場合を双極I型障害
うつ状態と軽躁状態がある場合を双極II型障害としています。
うつ病と双極II障害の鑑別は困難です。当初は「うつ病」と診断されていた方の約10%が後から双極性障害と診断されています。
双極性障害の原因
明らかな原因は解明されていません。
双極性障害の治療
生活リズムの安定と、双極性障害に対する理解を深めることが重要です。
薬物を利用した療法も重要となります。
基本的には気分安定薬(リチウム、バルプロ酸、ラモトリギンなど)を中心に加療します。
最近では、非定型抗精神病薬のオランザピンやアリピプラゾールも有効とされています。
早い段階で治療を軌道にのせることができれば、薬をうまく利用して再発をコントロールすることができます。
それまで築いてきた人生を損なうことなく、生活することが十分に可能です。