脳のさまざまな働きをまとめることが難しくなる病気です。
そのため幻覚や妄想などの症状が起こり、ほかの慢性の病気と同じように長い経過をたどりやすいですが、新しい薬や治療法の開発が進んだことにより、多くの患者さんが長期的な回復を期待できるようになっています。
まれな病気ではなく、120人に1人くらいの割合で罹患している人がいます。
統合失調症にかかった人の、約3分の2の人は回復もしくは軽度の障害を残すだけです。それには薬物による治療とリハビリテーションが大きな鍵を握るといわれています。
統合失調症の症状
統合失調症の症状は大きく分けると陽性症状、陰性症状、認知機能障害に分かれます。
陽性症状は誰もいないのに声が聞こえるといった幻聴や自宅に盗聴器がしかけられているなどのような被害妄想的な症状が一般的です。
陰性症状は、根気や集中力が続かない、意欲がわかないといった症状などが中心で、進んでいくと外出が困難になったりします。
認知機能障害は、集中力、記憶力、整理能力、計画能力、問題解決能力などに問題が生じます。例えば、他人の話を聞いても、単語の意味は理解できるのですが、文章全体の意味は理解できないという状態が起こりやすくなります。
統合失調症の治療
薬物療法と、専門家と話をしたりリハビリテーションを行う治療(心理社会療法)を組み合わせて行います。
薬物療法
統合失調症の薬物療法の中心は抗精神病薬と呼ばれるお薬です。
抗精神病薬は古くから使われてきた第一世代の従来型抗精神病薬と呼ばれるお薬と、新しい薬理作用をもつ第二世代の新規抗精神病薬と呼ばれるお薬に分かれます。
従来型抗精神病薬は陽性症状には良い効果が認められますが、陰性症状や認知機能障害に対する効果はあまり望めません。
新規抗精神病薬は陽性症状への効果に加え、陰性症状や認知機能の改善効果も認め、また副作用の発現も少なくなっています。