強迫性障害とは、「やめたい、意味がない」とわかっていながら、ある考えがいつまでも頭から離れない、ある行動を繰り返さないと気が済まないといった病気です。
強迫性障害の症状
強迫性障害には「強迫観念」と「強迫行為」があります。
両方の症状が同時に起きることが多いですが、強迫観念だけの場合もあります。
「強迫観念」とは、ある特定の考えやイメージが強迫的に、何度も繰り返し頭に浮かんでくることです。
一方「強迫行為」とは強迫観念を打ち消すための行為で、自分の意志に反してやっている場合が多く、強迫儀式とも呼ばれます。
例えば「手を洗ったのにまだ汚れている気がする」というのが強迫観念で、それに対して「何度も繰り返し手を洗い続ける」のが強迫行為です。
下記のようなケースが考えられます。
- トイレに行った後や汚いものに触れた後、必要以上に何回も手を洗ったり、衣服を選択したりしてしまう
- 外出時にドアの鍵を閉め忘れていないか、ガスの元栓をしっかり締めたか、何度も戻って確認してしまう
- 「4」や「9」など特定の数字に関して不吉な考えが浮かんでしまい、不安に襲われる
- 尖った物で自分や他人を傷つけてしまいそうで、ナイフやハサミ、コップなどの割れやすいものに近づくことができない
これらは誰にでも起こり得る現象ですが、日常生活や社会生活に支障が出てくるようになると強迫性障害というこころの病気であることが疑われます。
強迫性障害の原因
脳の中の神経間で情報伝達がうまくいかなくなることが原因の1つであると推測されています。
例えば「手が汚れているかもしれない」という不安の気持ちが過剰になりすぎていることが原因で、セロトニンという情報伝達物質が関係していると考えられています。
強迫性障害の治療
基本的には薬物治療と行動療法があります。
薬物治療としては脳内のセロトニンの働きを高める薬を使い、行動療法では「曝露反応妨害法」という、強迫行為を繰り返さないようにするための治療法が一般的です。
治療法の選択にあたっては、年齢や身体合併症の有無、症状の重さなど、様々な要因に応じて決められます。
強迫性障害はいったん治った後も、再発の可能性のある病気です。回復してからも長期にわたって治療を続け、再発を予防する必要があります。